浜北で明治時代から伝わる醤油づくり
六代目が目指す新たな挑戦

浜松市の平野部北部に位置し、豊かな自然環境に恵まれた浜北地域。
この地で明治時代から醤油づくりを続けているのが「明治屋醤油」です。
現在は六代目の野末将平さんが中心となり、伝統製法を守りながら、新しい挑戦にも積極的に取り組んでいます。
歴史感じる木造醸造所、昭和レトロな直売店も魅力


温暖な気候と良質な地下水に恵まれている浜北地域で、明治8年(1875年)に創業した明治屋醤油。初代・野末萬吉が小松(現在の浜松市浜名区小松)で醤油づくりを始めました。明治時代から増改築を重ねてきた黒壁の木造醸造所は現在も使われていて、周囲の建物とともに登録有形文化財(建造物)に指定されています。建物周辺には醤油の香りが立ち込め、小売りを行う木造店舗には昭和レトロな看板が並び、まるでタイムスリップしたような感覚に包まれます。
創業150年、家族とともに天然醸造の醤油づくり


6代目の野末将平さんは、5代目の父・一宏さん、母・房枝さん、弟・大造さんらとともに、人の手と自然の力だけで発酵させる天然醸造の醤油づくりに励んでいます。
現在の主な販売先は飲食店や保育園、給食会社などの業務用が中心ですが、店頭では10種類以上の醤油に加え、自社製のソースや味噌なども販売しています。
経済不況で売り上げ減り、厳しい現実に向き合う


将平さんは幼い頃から家業に親しんでいたものの、東京農業大学で醸造を学び、卒業後は外食チェーンに就職。2008年に退職して帰郷し、家業に加わります。「当時はリーマンショックの影響で卸売りの売上げも減少。小売店へ営業に行っても価格競争に勝てず、醤油をつくって売るだけでは商売は難しいという厳しい現実を知りました」と当時を振り返ります。
認知度高める新事業、原材料の自社栽培も強化


その後、地元商工会青年部に入り、経営アドバイスを受けながら家族で理念や目標を話し合い「明治屋醤油を知ってもらう」活動も本格化。工場見学や醤油しぼり体験などの取り組みを始め、地域とのつながりを深めていきました。
2016年には農業経験のある弟の大造さんが加わり、祖父が始めた畑で無農薬・無化学肥料で大豆と小麦を栽培。天日塩とともに仕込み、3年熟成させた醤油「蔵出し」は、まろやかな風味と天然のとろみが特長の人気商品に成長。大豆や小麦の収穫量を安定させるため、栽培面積も少しずつ増やしているそう。
体験通じて新たな気付き、地域に愛される醤油屋へ


工場見学や醤油しぼり体験には、地元の子どもたちから外国人観光客まで幅広く訪れ、参加者の反応を参考に、少量ボトルを増やしたり、新商品開発を行ったりすることも多いそう。「小学校で行った味噌づくり体験の味噌の味が気に入って親子で買いに来てくれた方もいます」と将平さんは笑顔で話します。「これからも地域で愛される醬油屋を目指し、皆さまに醤油に興味を持つきっかけとなる商品や機会を増やしたい」。そう語る将平さんの挑戦は、伝統を守りながら未来へと歩み続けています。

※明治屋醤油の商品は、浜松市のふるさと納税の返礼品に登録されています。
【浜松市の「ふるさと納税」の使い道】
浜松市では、ふるさと納税を通じて寄せられた寄附金を、以下のように活用させていただきます。
- 産業、雇用の創出
- 産業、雇用の創出
- 防災、防犯の強化
- 自然との共生、持続可能な社会の実現
- 健康づくりの推進、地域医療の充実
- 地域文化の創造、魅力発信
- 自治体におまかせ