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移住者の声

都心での都市開発+エリアマネジメント経験を浜松へ―東京からUターン
新川モールの運営や街食堂など、まちなかで新たな居場所づくり

  • 「株式会社HACK」代表取締役/共同創業者、「ATLAS.LLC」代表 髙林健太さん
  • 【前居住地】東京都
  • 【出身地】静岡県浜松市
  • 【職業】会社経営

「同世代や若い人たちが面白いと感じる街のコンテンツをつくりたい」と話すのは「(株)HACK」代表取締役の髙林健太さん。浜松市出身で2017年に東京からUターン。大手デベロッパーで都市開発やタウンマネジメントに携わった経験を生かし、現在は浜松の街中を拠点に、同じ思いを共有する仲間とともに新たなプロジェクトを手がけています。

Uターンのきっかけ

高校時代まで浜松市で過ごし、大学院修了後に東京の森ビルへ入社。昨年秋に誕生した麻布台ヒルズの計画や六本木ヒルズのタウンマネジメントなどに携わった髙林さん。「都心で働く楽しさや刺激を感じながら生活していましたが、今振り返るとプレッシャーやストレスもあったように思います」と振り返ります。8年間の東京生活の中で結婚や子どもの誕生を経験。「年齢を重ねるにつれ、東京はずっと暮らす場所ではないと感じることが増えてきました。長野県出身の妻も同じ思いで、お互いの地元へ戻る、もしくはそれ以外の地域への移住を考えるようになりました」と髙林さん。そんな時に知人の紹介で浜松の丸八不動産の社長と出会い、同社のプロジェクトやクラフトビールを立ち上げる新事業に興味を持ち、浜松へのUターンを決意したそう。

現在のお仕事について

 

2017年に丸八不動産へ転職し、クラフトビール事業や街中でのイベントの立ち上げ・運営などに携わってきた髙林さん。しかしコロナ禍で新たな事業への見通しが不透明になる中で、2020年に参加した浜松市主催のリノベーションスクール(企業版)が起業への転機になったそう。「地方の課題や可能性に対する考え方、価値観に共感できる仲間と出会い、このメンバーで何か新しいことをやってみようと思い『(株)HACK』を立ち上げることになりました」。現在取り組んでいるのが街中のコンテンツづくり。浜松市から公募を経て採択された遠州鉄道高架下の新川モールの指定管理業務や、浜松市で暮らし働く人たちのための「街食堂」、「水曜日のヨル喫茶」の企画運営を中心に活動しています。「東京で働く魅力もありますが、浜松では少人数で手触り感のある仕事が多い。自分が関わっていることが街に接続していると感じられ、やりがいにつながっています」。

浜松街中での新たなチャレンジ

2022年から指定管理者に選定された新川モールでは、コーヒースタンドの常設や花や野菜、ハーブを育てる「新川園芸倶楽部」を主催するなど新たなプロジェクトを実施。イベントの企画や募集も積極的に行っています。「新川モールはまちなかの公共空間として、イベント開催日だけではなく、日常的に人が自然に集うためのきっかけづくりが大切だと思っています。そのためにも訪れた人たちの声を聞き、今後の活動に生かしたいと考えています」。2023年に浜松市中央区板屋町にオープンした「街食堂」では地元の飲食店のランチを週替わりで提供。コンセプトに賛同した会員企業は割引価格で利用できるなど独自の取り組みが注目を集めています。
利用者からは毎週いろいろな料理が味わえると好評で会員企業も35社に拡大。料理を提供する出店者からも店のPRになるという声が多いそう。「街食堂では毎週水曜日の夜に“水曜日のヨル喫茶(通称水ヨル)”という交流イベントも開催しています。地元企業の経営者などをゲストに招き、その方のお話を“ツマミ”にお酒を楽しむイベントですが、様々な業種や世代の垣根を超えて集い出会う場になっています。実際に水ヨルがきっかけで知り合った企業間でのコラボワークも始まっています」。

浜松への思い、これからのこと

学生時代に街中の洋服店で働くお兄さんたちとしゃべるのが楽しかったと懐かしそうに話す髙林さん。その思い出が現在の活動の原点にもなっているそう。今の浜松の街中での新たな取り組みや新しいショップの情報を広く届けることは難しいと感じることも多いそうですが、「体験して楽しいと感じられるコンテンツが増えれば口コミやSNSなどで自然に周囲に伝わりますし、楽しい思い出があれば人は戻ってくると思って活動しています」。今後はHACKのコンセプトやビジョンを、分かりやすくビジュアルや言葉でまとめた冊子の制作も計画中とのこと。「自分の経験を生かした古いビルの再生や、僕たちの取り組みに関心をもってくださる周辺地域への活動も広げていきたいと思っています」。

メッセージ

浜松は転職先となる企業も多く、自然環境にも恵まれているので、比較的移住の難易度は低く、ポジティブに暮らせる街だと思います。移住やUターンをきっかけに『今の生活環境を変えたい』『何か新しいことを始めたい』と考える人も多いと思いますが、あまり期待し過ぎず、階段を1段ずつ上るように時間をかけてじっくり取り組むことが大切だと思います。僕自身も東京から浜松へ戻り、一度地元の企業で働き街の人たちと交流する日々があったから、今の仕事につながっていると思います。年齢的にも30代でのUターンは、新たなことに挑戦でき、それを受け入れてもらえる程良いタイミングだったように感じています

PROFILE

1984年生まれ。浜松市出身。千葉大学大学院工学研究科建築・都市科学専攻修了後、森ビル(株)に入社。新規開発プロジェクトの都市計画、事業計画、六本木ヒルズのタウンマネジメントに携わる。2017年に浜松へUターン。丸八不動産(株)にて複数のプロジェクトの立ち上げ・運営。2021年独立し、現在は(株)HACK代表取締役、合同会社アトラス代表、ニューコモン商会共同主宰。「自分ゴトがあふれる街を作る」をコンセプトに、浜松を拠点としたまちづくりプロジェクトの企画実践を行う。

【ホームページ】https://hack-hamamatsu.com/

【浜松市リノベーションまちづくり】https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/shise/toshisebi/renovation/index.html