コロナ禍をきっかけに東京から祖母の畑がある浜松へ移住
地域の生産者の野菜を使い、薬膳とスパイスのローカルフード店営む

• 薬膳料理研究家／「合同会社Food Officeハチドリ」代表／「ハマキタビリヤニ」店主ヤマグチ ヒロさん
• 【前居住地】東京都
• 【出身地】京都府
• 【職業】薬膳料理研究家／経営者

東京を拠点に薬膳料理研究家として約10年間活動してきたヤマグチ ヒロさん。コロナ禍をきっかけにワークスタイルを見直し、祖母の畑がある浜松市へ移住。キッチンカーを通じて人脈や活動を広げ、現在はカフェやジュビロ磐田のスタジアムで料理を提供しています。

浜松への移住のきっかけ

東京・渋谷でフリーの薬膳料理研究家として活躍し、都会的なたたずまいが印象的なヤマグチさん。出身は京都府ですが浜北に父方の祖母の家があり、浜松は幼いころに夏休みに訪れるおばあちゃんとの思い出の土地だったそう。移住のきっかけはコロナ禍。「2020年2月ごろからケータリングや企業との仕事のキャンセルが続き、将来についてゆっくり考える時間が増えました。フリーランスの仕事は人から依頼がないと成り立たない。自分がゼロから生み出せる仕事をしたいと考え始めた時に思い出したのが荒地になっている祖母の畑でした。この機会に畑で新しいことを始めたいと思い移住を決意しました」と新たな道への思いを語ります。

現在のお仕事について

移住後に自身が代表を務める「Food Officeハチドリ」を法人化。現在は薬膳とスパイスのローカルフード「ハマキタビリヤニ」を運営し、浜松市中央区中野町の「cafe明日」にてランチ提供や、ジュビロ磐田のホーム試合時に常設店で料理を提供。東京の拠点も持ちながら東京での仕事も継続しているそう。「浜松では当初、祖母や親など親戚以外の知り合いはゼロ。仕事を始めていく中で、自分の考えを拡大し立体化していくにはどうしたら良いか相談できる人もいませんでした」と途方に暮れることも多かったというヤマグチさん。キッチンカーを購入してから活動の場が広がり、浜松の街中やフラワーパーク、天竜エリアなど、さまざまな地域やイベントに出店。「キッチンカーでの営業で少しずつ知り合いが増え、現在ランチを提供しているカフェのオーナーにも出会うことができました。移住して飲食業を始めたい方にはキッチンカーがお勧めです！」

浜松の魅力

「浜松に移住して驚いたのが食材の味。特にブロッコリーとイチゴのおいしさに魅了されました。東京だとブロッコリーは海外産が中心ですが、浜松産のブロッコリーは野菜本来のおいしさを強く感じられました。ジビエやもちがつおなど、東京では出会えない食材も多く、今後ケータリングなどでも浜松の食材を使いたいと思っています」。仕事面でも浜松の魅力を感じる機会が多かったと話します。「民間も行政も排他的ではなく、受け入れてくれる人が多い。行政に相談したら、すぐに答えられないことは後で調べて連絡をいただいり、人を紹介していただくこともありました」。休日は愛犬と浜松近郊へ出かけることも多いそう。「浜松は車で1時間ほど走ると景色が変わるので、遠くに行かなくても気分の切り替えができるのも魅力。浜名湖の眺めを楽しんだり、天竜区の古民家宿泊施設『阿多古屋』に泊まってサウナやお風呂を楽しんだりしてリフレッシュしています。」

これからのこと

今後は移住のきっかけとなった祖母の畑で地域のコミュニティ空間をつくりたいと考えているヤマグチさん。「東京では高齢者の社会的な孤立が問題になっていますが、浜松でもシニア層だけではなく、子どもたちが孤立していると感じる機会が多い。ちょっと立ち寄っておしゃべりやお茶を楽しんだり、自分たちで育てた野菜を売ったり、子どもたちがおじいちゃんやおばあちゃんから学べるワークショップを開催したり…と地域の人たちが気軽に集える場をつくりたいと思っています」と構想中のアイデアを楽しそうに話すヤマグチさん。さらに自身の薬膳の知識を生かし、子育て中の母親向けに家族の健康管理のヒントになるような講座も開催したいと考えているそう。

メッセージ

浜松は関東と関西の中間なので東京や大阪へのアクセスも良く、富士山静岡空港や中部国際空港を使えば、日本全国はもちろん海外にも行けます。住まいも東京や大阪と同じ家賃で広くて快適な所に暮らせるので、創作活動をしている人にはアトリエの拠点としてもお勧めです。移住といえば、山奥や不便な所など、極端な場所に住むイメージを連想しがちですが、浜松は程よく都会で、程よく田舎で人も多くて住みやすい街。移住のハードルが高くなく〝ふらっと移住″ができ、自分の人生の1拠点として身構えずに来られるのが浜松の良さだと思います。