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市民インタビュー INTERVIEW

家業の「瓦」の魅力を伝えるカフェをオープン
空き家を活用し、人が集い循環する街づくり目指す

柳本茉希さん近影

カフェ「gramme」運営
(株)柳本産業 監査役
(株)浜松家守舎キュウ代表取締役
柳本 茉希さん

  • 【出身地】静岡県浜松市
  • 【職業】屋根工事業企画広報

明治創業の瓦屋の次女として生まれた柳本さん。家業の瓦の価値と魅力を多くの人へ伝えたいという想いから、浜松市中央区北田町に瓦のコンセプトカフェをオープン。さらに市街地の空き家の利活用のため会社を設立し、地域の人と関わりながら尾張町・北田町エリアの発展に取り組んでいます。

今の仕事のきっかけ

浜松市内の老舗瓦製造業「柳本産業」の次女として生まれた柳本さん。東京都内の短大卒業後、浜松いわた信用金庫へ就職。3人の子どもに恵まれ、仕事と子育てを両立してきましたが、育児とフルタイム勤務の両立に限界を感じ2019年に退職。同年、家業の経理として働き始めました。
父親の他界後、姉夫婦が事業を引き継いでいましたが、瓦の需要減少に伴い、業界の活気が無くなっていると感じたそう。その状況の中で、浜松市の広報で見かけたリノベーションスクールに参加。実在する空き家を再生するための事業計画を立てるなど、実践的な内容に刺激を受けたそう。「スクール終了後も自分にできることは何だろうと、気になる人や場所への視察を続けていました。さまざまな出会いを通して、空き家を活用して家業にも地域にも貢献でき、自分らしく働ける場をつくろうと、瓦をテーマにしたカフェの開店を決意しました」

現在のお仕事について

瓦をイメージした最中や瓦のストーリーに沿ったオリジナルブレンドティーの画像

鬼瓦の石膏型抜き体験の画像

2023年、瓦の魅力を伝える体験型カフェ「gramme(グラム)」を北田町にオープン。現在は店舗の運営に携わっています。店内は瓦の廃材を取り入れてリノベーションされ、メニューには瓦をイメージした最中や瓦のストーリーに沿ったオリジナルブレンドティーなどが並びます。建築や住宅、瓦に関する書籍が並ぶ書棚があり購入も可能。店舗奥にはワークショップ用のスペースがあり、予約をすると鬼瓦の石膏型抜き体験ができます。
明るく親しみやすい人柄が魅力の柳本さん。「最近は『柳本さんに会いに来た』と言ってくれる方もいて(笑)。お店があることで受動的な出会いが増え、今まで出会うことがなかった人たちとも知り合う機会が増えました。この場所ができて良かったと思っています」 また、近隣の尾張町を拠点にエリアリノベーションに取り組む仲間と「株式会社 浜松家守舎キュウ」を設立。市街地に増える空き家の活用やエリア活性化にも取り組んでいます。

これからのこと

店舗前の看板の画像

店舗内の建築や住宅、瓦に関する書籍が並ぶ書棚の画像

「カフェがきっかけで工務店や建築業者から瓦や屋根の修理のご依頼をいただくことはあるのですが、一般の方からの依頼はまだ少ないのが現状。瓦や会社のことを一般の方に知ってほしいと始めた店なので、今後は個人向けの相談時間を設けていきたい」と語ります。「浜松家守舎キュウ」の活動も設立から2年が経ち「建物を再生させても、人がいないと意味がない」と新たな想いが芽生えてきたといいます。「再生した建物に人が集い、関係性が生まれて深まり、街にも良い循環が広がるのが理想です。今は知人や口コミからの相談が多いのですが、今後は空き家を活用したい人が気軽に相談できるように、活動内容を広く伝えていきたいです」

母親として、浜松への想い

柳本さんが話している様子

店舗内の画像

3児の母としての目線で浜松の魅力を尋ねると「浜松は人が魅力。お節介で優しい人が多く、子どもと出掛けても気軽に声をかけてくれる人も多い。子育て中も孤独感がありませんでした。保育園のママ友とも協力し合っていましたし、程よい距離感で付き合える人が多い」と話します。
公園やイベント、行政サービス、医療面も整っていて、特に不便を感じなかったそうですが、子どもが小学生や中学生になると、教育面での課題も感じ始めたといいます。「教育に関して都会に比べると選択肢が少ないのが残念。わが家には中学2年生の長女がいるのですが高校選びに悩んでいます。得意分野を伸ばしてあげたいのですが、公立高校は特色が少なくて…。知人のお子さんで不登校の子がいるのですが、自宅以外の居場所が少なく親もかなり悩んでいる。もっと自分らしく過ごせる場所や機会が増えると良いなと思います」

メッセージ

「浜松は広く、多様な魅力がある街です。移住を考えるなら、ぜひ何度か浜松へ足を運んでいただき、観光地ではない場所も訪れてみてください。『この町に住んだら、この喫茶店に通うかも、夜はこの居酒屋へ行くかも…』と想像できるような心惹かれる場所を見つけてほしいです。浜松は飲食店などの店舗も各地に点在しているので、きっとお気に入りの町があるはず。そして迷ったら、ぜひ当店にも立ち寄って、気軽に相談してください」

柳本さんが笑顔で話している様子

PROFILE

1983年生まれ。浜松市出身。明治23年創業の瓦屋「柳本産業」の次女として生まれる。東京都内の短大卒業後、浜松いわた信用金庫へ就職。16年間勤務し、2019年柳本産業へ転職。瓦の普遍的価値と魅力を伝えるため、2023年瓦をコンセプトにしたカフェ「gramme」を北田町にオープン。カフェを営みながら、瓦づくりなどの体験ができるワークショップも開催。浜松市主催のリノベーションスクールで出会った仲間とともに「(株)浜松家守舎キュウ」を設立し、尾張町・北田町エリアの活性化を目指す。3児の母親。

【ホームページ】http://gramme-kawara.yanagimoto.co.jp/

【インスタグラム】https://www.instagram.com/gramme_kawara/